木毛セメント板
 ■コンクリート打込み工法


(1)コンパネ使用型枠工法
木毛セメント板をあらかじめ型枠の内側に取り付けておき、コンクリートを打込むことによって強固に取り付けることができます。この工法は天井(スラブ)、梁及び壁に断熱・吸音などを目的としています。施工方法を以下に示します。
 
1. スラブ面では、梁によって区切られた面に木毛セメント板を割り付けます。この際、木毛セメント板の端部が梁の中に食い込まないように割り付ける必要があります。
木毛セメント板を敷き並べた後、上から45cm間隔程度に軽く釘止めします。
2. 木毛セメント板の目地からセメントペーストの滲出を防止するために、目地の上面に巾50mm程度のテープを貼りつけます。目透しの場合はジョイナーを取り付けた後にテープを張りつけた後コンクリートを打設すると、美しく仕上ります。
3. 特に軽量の木毛セメント板を使用する場合には、敷き並べた後、木毛セメント板の表面に硬練りモルタルを木ゴテですりこんでおくと板にペーストもれが生じません。
このようにしておけば、コンクリート打設に先だって散水しても、差支えありません。
4. 壁体の場合もほぼ同様ですが、木毛セメント板の型枠への釘打ち間隔は、45cm程度にしっかり留め付けます。型枠面に打込む釘の長さは板厚の倍を目安とします。
5. 脱型後釘の先端はカッターで切断します。脱型時の角欠け等は接着剤を使用して補修してください。
 


(2)型枠用木毛セメント板工法
型枠用木毛セメント板は、コンパネの代わりに型枠成形を行い、コンクリートを打込むため、コンパネの解体の必要がありません。これは大幅な工程の短縮となり、コストダウンにもつながります。20mm〜50mmの型枠用木毛セメント板(補強木毛セメント板などもありますのでメーカーにお問い合わせ下さい。)は12mmのコンパネと同等の強度および弾性係数を示しており、表面が凸凹でかつポーラスなためアンカリング効果もあり、2kg/cm2の非常に高い付着強度を示しています。また、木毛セメント板にはアーチ型やドーム型などさまざまな形状の木毛セメント板があり、自由な施工が可能です。
本来、木毛セメント板には吸音性能、断熱性能、調湿機能が備わっています。このため、通常コンクリート打設後に表面仕上げ材の間に必要とされていた吸音材、断熱材も必要ではありません。さらに、自然が織りなす木目模様の美しい仕上げが可能となります。


・コンクリート耐久性の向上
コンクリート中の鉄筋は、セメントの強アルカリ(PH13.5)によって、鉄筋周囲に2〜3nmの不導体(電気を通さない)皮膜で、腐食から保護されています。従って、鉄筋コンクリート造の耐久性は、通常の環境下ではコンクリートのアルカリ部分が空気中の炭酸ガスによって起こる中和作用(PH8程度に中性化)が鉄筋位置に達する事で耐久性が求められます。中性化深さχは
となります。
一般的なコンクリート(Fc=27N/m2)で、A=4程度です。
また、コンクリートの密実性(水セメント比)や仕上げ材の有無によって、コンクリート表面からの炭酸ガスの浸透速度が変わります。
 打込み型木毛セメント板を用いると、コンクリートの耐久性が飛躍的に向上します。「JIS A 1153コンクリートの促進中性化試験方法」に準じて中性化促進試験を行った結果、促進材令6ヶ月において、コンパネにて型枠成形を行った打放し部分の中性化深さは25mm(おおよそ60年に相当)であったのに対し、木毛セメント板打ち込み型枠面の中性化深さは1mmでした。
これは、木毛セメント板を型枠としてコンクリートに打ち込んだ際に、初期の段階として、木毛がコンクリート中のモルタル部分表層の水分を脱水し、緻密な表面を構成するためと考えられます。つまり、透水型枠と同様な効果が木毛セメント板にはあるといえます。


コンクリート打放し


木毛セメント板打込み
中性化促進試験結果(促進材令6ヶ月)


・施工上の注意事項

パネルを施工する場合は、その性能を十分に活かし、意匠性、化粧性を大事にするために割り付け図を作成し、それに従い注意して施工して下さい。
 
1. 打込み型枠木毛セメント板には表裏があります。スラブ用型枠には裏面を上向きに、壁用型枠には表面を壁仕上側に施工して下さい。
2. コンクリート打設30分前に、パネルに散水し、水分を十分に与えておきますとジャンカができにくく、コンクリートとパネルの接着も良好になり、また良質なコンクリートが打ち上がります。
3. 解体
パネルの表面を傷つけないように十分に注意し、桟木、パイプ等を取り外して下さい。
釘の先端をカッターで切断して下さい。化粧として使用される場合は、軸足を抜いた穴をモルタルで、墨あとはセメントペーストなどで補修して下さい。

以下に施工例、部分詳細図及び断面図を示します。
 

施工例
 

A断面詳細図(柱頭部横断面)

B断面詳細図(縦断面)
 



縦断面詳細図
 



側断面
 



横断面